2007/7/22  審判

オレは歩いている。
ビルや喧騒に汚染された街の中を歩いている。
まわりにはオレと同じように歩いている人間ばかりだ。

どこに向かっているのかわからない。
自分がどこの誰で何のために歩いているのかもわからない。
ただ、あてもなく歩き続けている。

周りの人間の姿は見えるが声は聞こえない。
喧騒といっても奇怪な音の渦でしかない。
耳を劈くような、それでいて心をゆっくりと溶かしていくような
不思議な心地よさを感じさせる音のような感じもする。

オレは足元にある光に気をとられた。
そう、それは一瞬。
一瞬だけ立ち止まる。

その瞬間、周りの人間がさっとオレを振り返る。
今までどこにこんなに人がいたのかと思うくらい、
群集と化した人間達が俺を見ている。

オレはその人々を見る。
全員、同じ顔だ。
青白くてお面のように無表情だ。
そして、お面のようなその顔の目の奥から
ぞっとするほど冷たい光を発している。
でも、オレは何も感じない。
恐怖さえも感じない。

その群集が少しずつオレを囲んでいく。
少しずつ囲いを狭めていく。
オレはもう逃げられない。
おぞましいほどのうなり声がオレの頭の中に反響する。
彼らの声なのか。
わからない。
あるのは暗闇にうごめくおびただしい数のお面たちだ。

オレはなにも考えていない。
だけど、体が勝手に動き出す。
そして、彼らと同じように歩き出す。
オレはガラスに映った自分を見てみた。
オレも彼らと同じ顔をしていた。

ああ、そういうことか。
やっとわかった。
オレは何も特別じゃなかったんだ。
みんな同じだ。

そこにあるのは救いだろうか。
それとも破滅なのか。
贖罪と業とによって繰り返される日々に
いつか審判が下される時がくるのだろうか。

罪の意識に苛まれることも、
自我におぼれることも、
破壊を恐れることも、
恐怖を乗り越えることも、
全ては審判にゆだねられる。

もし、審判の時がくるのなら、
その時オレは何を思うんだろう。
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by porori001 | 2007-07-23 00:48


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