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2006/7/1  ぼくのなつやすみ

さて、本日会社に行くときにふと山手線の広告を見ていると
PSP版の「僕の夏休み」が広告されてました。

一世を風靡したゲームなので
知らない人もあまりいないでしょう。
よくやったものです。
子供の頃に山口のおばあちゃんの家に行って遊んだ日々が
ほんとに懐かしく思い起こされます。

いつだって思い出は美しいもので、
青い空と白い雲に特別な感情をもってしまう人も
多いのではないだろうか。

それこそ映画で描かれる夏の日というのは、
常にノスタルジーを感じさせる映像です。
小説を読んでみても夏の日というのは
だれでも同じような光景を思い描くような書き方がされているように感じる。
おそらく多くの人達の中で共通の夏のイメージがあるのでしょう。

夏。
この季節をオレは長い間嫌いだった。
暑くてじめじめしてるから?
夏ばてして体がだるいから?
プールの授業があるから?
どれも当たってるんだけど、
何か違うような気がするんです。

いろんな意味でそう思うんだけど、
自分が何故そこまで嫌いだったのか。
今までオレが人に説明していた理由と実は全く違うところに
その根拠があるんじゃないかと思いました。

なぜならオレの思い描く夏のイメージは
多くの人が思い描くものと何ら変わりはないと思うからだ。
それこそ、前出の「ぼくの夏休み」の光景はまさに、
オレにとっても共感を覚えさせるものであり、
そういったものに強い郷愁とノスタルジーを感じる。

だとすれば多くの人と同じように、
オレも夏が好きだ、と断言できたはずだ。
でも、オレは違った。
今まで夏は嫌いだと言い切っていたのだから。

特別に何をするわけでもない。
家族でよく旅行に行ったわけでもない。
宿題がどっさり出て頭が痛かった。
嫌いなプールの日もあった。
何より教育熱心だったオレの亡き父は常にオレに勉強を強いた。
(このことは今はいろんな意味で感謝しているが、それを伝えられなかったのは残念だ)

でも、オレはきっと今これを読んでいる人と同じ「夏の日」を
思い浮かべることが出来ると思う。
何故か。
多分、オレは夏が大好きだったんだ。

確かに上記に上げたことは実際にオレの夏だった。
だけど、それだけじゃなかったはずだ。
友達と探検に行ったり、
体中泥んこになるまで遊んでたり、
朝から日が暮れるまで野球の練習してたり、
そうそう、野球を見に行ったり、
山口のおばあちゃんの家に行ったり。
何か特別なことなわけじゃない。
だけど、何か刺激的だった。
これらのことを実行するに当たっての
共通のキーワードは唯一つ。

「夏だから」

夏じゃなかったら、何故かできない。
夏じゃないと、何故かできなかったんだ。
オレは夏を迎えるたびに新しい刺激にふれられるような気がした。
だけど、人間の悲しいサガが立ちはだかる。
楽しみにしている分、そんな時間は、
それこそあっという間に過ぎ去っていく。

きっとオレは夏を人一倍楽しみにしていた。
だから、きっとオレにとっての夏は
人一倍早く過ぎ去っていたんではないだろうか。
父の教育方針のせい(おかげ)で周りの人間ほど自由の無かったオレには、
何よりも時間の足りなさが悲しかった。

楽しい時間こそ早く過ぎ去る。
何故なんだろう。
こんなに楽しいことは長く続いて欲しいのに。
何故なんだろう。
早く過ぎ去らないためにはどうしたらいいんだろう。

ひねくれたオレが出した答えがまさにこれだった。
「楽しみにしていなければ良いんだ」

オレはことあるごとに「夏が嫌いだ」と言うようになった。
確かに冬は冬で前にも言った通り大好きだ。
でも、他人と「夏が好き・冬が好き」という話になって、
誰かが「夏が好きだ」と言い出すと必要以上にムキになって反論してるオレがいる。
天邪鬼なオレはきっと「オレだってそう思っている」ことを、
打ち消したかったんではないだろうか。

夏はきっと誰にでも同じ顔を見せているはずだ。
でも、それを受け取る側の人間によって、
様々な表情になっていく。

それでも、みんな思い起こせば同じ「夏の日」を覚えている。
大統領だって。
野球選手だって。
先生だって。
警察官だって。
コンビニの店長だって。
浮浪者だって。
犯罪者だって。
お坊さんだって。
アイドルだって。
おばあちゃんだって。
そして、オレだって。

また、夏が来る。
今年の夏はオレにどんなノスタルジーを感じさせてくれるのでしょうか。
by porori001 | 2006-07-02 23:15


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